夫婦で一緒に寝るべきか迷っている方は、実際にどのくらいの割合で一緒に寝ているのか、そこから得られる効果や感じやすいストレス、そしていつまで続けるのが現実的なのかが気になるでしょう。
また、同室で過ごすことが本当に長生きにつながるのか、その理由についても関心があるはずです。
本記事では、国内の各種調査データや専門家の見解をもとに、夫婦の就寝スタイルを選ぶための判断材料をわかりやすく整理します。
・夫婦が同室や同一ベッドで寝る最新の実態と割合
・一緒に寝ることによる心理・睡眠面の効果
・ストレスの典型パターンと実践的な軽減策
・いつまで同室を続けるかの目安と見直しの基準
夫婦が一緒に寝ることのメリットと背景

夫婦が一緒に寝る割合と傾向

国内の複数の統計調査では、夫婦が同じ寝室で就寝するケースが依然として多数派であることが明らかになっています。
たとえば、既婚女性を対象とした大規模アンケートでは、約9割が同室で寝ていると回答し、別室は約1割にとどまる結果が報告されています(出典:ベネッセ教育総合研究所)。
一方、既婚男女を対象にした企業のアンケート(2023年実施)では、同一ベッドが36.8%、ツインベッド(同室内にベッド2台)が36.8%、完全に別室が26.5%という構成でした。
この結果から、同室であっても必ずしも同じベッドを共有しているわけではなく、寝具の形態は多様であることが分かります。
さらに、2021年の生活実態調査(対象:既婚者692名)によれば、ツイン36.1%、ダブル33.8%、別室30.1%という結果が示されています。
これらのデータを総合すると、日本では「同室は多数派だが、同一ベッドに固執しない家庭が一定数存在する」という傾向が浮かび上がります。
また、結婚年数による変化も見逃せません。
一般的には、結婚1年目は同一ベッドが多く、5年目以降にツイン化する割合が増加し、20年前後になると別室化が進むパターンが見られます。
これは、加齢や生活リズムの変化、体調の変動が関係していると考えられます。
主な調査結果の整理
調査(公表) | 主対象 | 主な結果の要旨 |
---|---|---|
女性向け大規模アンケート | 既婚女性 | 同じ寝室が約9割、別室は約1割程度 |
企業アンケート(2023年) | 既婚男女800名 | 同一ベッド36.8%、ベッド2台36.8%、別室26.5% |
生活実態調査(2021年) | 既婚者692名 | ツイン36.1%、ダブル33.8%、別室30.1% |
このように、夫婦の寝室スタイルは固定的ではなく、家族構成、住宅事情、健康状態など複数の要因によって変化していく傾向があります。
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一緒に寝ることで得られる効果

同室・同一ベッドには、心理面と実務面の両方で多くの効果が期待できます。
心理的な側面では、隣にパートナーがいる安心感が強く、睡眠中の不安感を軽減し、安定した入眠につながるとされています。
睡眠医学の分野では、このような安定した人間関係が、ストレスホルモン(コルチゾール)の分泌抑制や「愛情ホルモン」とも呼ばれるオキシトシンの分泌増加に関与している可能性が指摘されています(出典:米国睡眠医学会)。
また、就寝前の会話やスキンシップは、日中に不足しがちな夫婦間のコミュニケーションを補完します。
特に現代では、仕事や家事で多忙な生活が続く中、就寝前の数分間の対話が夫婦関係の維持に重要な役割を果たすことが分かっています。
さらに、同室で寝ることは健康管理の面でも有効です。
例えば、パートナーのいびきの合間に呼吸が途切れる兆候を察知できれば、睡眠時無呼吸症候群の早期発見につながる場合があります。
こうした早期気づきは、医療機関への受診や生活習慣の改善を促すきっかけとなり得ます。
要約すると、同室で寝ることは「心理的安心感の提供」「夫婦間の接点増加」「健康リスクの早期発見」という複合的なメリットを持つ可能性があります。
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就寝習慣がストレスに与える影響

一方で、夫婦が同じ空間で寝ることは、一定のストレス要因を伴う場合があります。代表的なものは以下の通りです。
-
いびきや寝言、寝相、夜間のトイレによる中途覚醒
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就寝・起床時間のずれや照明・音に対する感覚の違い
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エアコンの設定温度や寝具の厚みなど、体感温度の差
特に国内の複数調査では、いびきが不満要因の上位に位置しており、次いで温度差や匂いといった感覚的な不一致がストレスの原因になると報告されています(出典:日本睡眠学会)。
こうした問題の解決には、まず原因の特定が不可欠です。
1〜2週間ほど、起床時の眠気や中途覚醒の有無、その原因と考えられる要素(音・光・温度・振動)を記録することで、対策の方向性が見えやすくなります。
具体的な対策としては、耳栓やアイマスクの使用、独立コイルマットレスや低反発素材の採用による振動軽減、掛け布団やパジャマ素材の個別最適化などがあります。
これらの工夫により、同室のメリットを維持しつつストレスを最小化することが可能です。
結果として、同室による効果とストレスは表裏一体であり、両者のバランスをうまく取ることが快適な睡眠環境の鍵となります。
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夫婦が一緒に寝るのはいつまで続くか

夫婦が同室や同一ベッドで寝る期間には、明確な期限はありません。生活環境や健康状態、ライフイベントによって柔軟に見直すことが現実的です。
たとえば、出産や乳幼児期は夜間授乳や夜泣きへの対応で睡眠リズムが乱れやすく、一時的に別室やツインベッドに移行する家庭が多いとされています。
子どもが成長する過程で部屋の使い方が変化し、間取りの都合で寝室スタイルを再編するケースも珍しくありません。
在宅勤務が増えた近年では、昼夜逆転やオンライン会議など生活時間帯の変化に伴い、就寝環境を調整する家庭も増加しています。
また、中高年期に差しかかると、加齢に伴う体温調節の変化、頻尿、いびきなどの要因から、睡眠の質を守るためにベッドを分ける判断がなされる場合があります。
判断の基準としては、以下の3つが参考になります。
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睡眠の質が落ちていないか(中途覚醒、日中の眠気)
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会話やスキンシップなど夫婦のコミュニケーションが保たれているか
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健康や安全上の注意点(無呼吸の兆候、持病、年齢的配慮)があるか
こうした視点を持つことで、年単位で固定化するよりも、季節やライフステージに応じて寝室スタイルを柔軟に変える判断がしやすくなります。
一緒に寝ることが長生きにつながる理由

同室で寝ることが直接的に長寿をもたらすという科学的な証拠は限られています。
しかし、睡眠や健康分野の専門家によれば、安定した人間関係は精神的安定を促し、結果的に健康行動を支える可能性があるとされています(出典:米国国立衛生研究所)。
同室で就寝することで得られる安心感は、入眠をスムーズにし、夜間の中途覚醒を減らすことにつながります。
また、隣にいることで体調の変化に早く気づく機会が増えます。
例えば、呼吸の乱れや異常な寝汗、寝言の変化などは、病気の初期兆候である場合があり、早期の医療介入につながる場合があります。
さらに、同室は日々の生活習慣にも好影響を与える場合があります。
入眠前の会話や軽いストレッチ、睡眠前のリラックス習慣を共有することは、双方の健康維持に寄与することが考えられます。
これらの積み重ねが、間接的に長寿を支える環境づくりにつながります。
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夫婦が一緒に寝る習慣の続け方と工夫
夫婦が一緒に寝る習慣を続ける割合

同室を維持できるかどうかは、家庭環境や健康状態、そしてお互いの睡眠スタイルの相性に左右されます。
国内の複数調査では、結婚初期に同一ベッドを選ぶ割合が高く、その後はツインや別室に移行する割合が増える傾向が見られます。
一方で、別の調査では結婚10年以上経過しても同室を続けている夫婦が多数派であることも示されています。
同室を長く続けるためには、「効果と負担のバランス調整」が鍵となります。
例えば、週に2回以上いびきで中途覚醒が発生し、日中の眠気が出ている場合は、ツインベッドや寝具の分離などで干渉を減らすことが有効です。
逆に、日常の会話時間が減少し、関係性の希薄化が見られる場合は、就寝前の10分間を会話タイムとして確保するなど、心理的距離を縮める工夫が求められます。
重要なのは、世間の平均的な割合や周囲の事例に引きずられるのではなく、自分たちの生活パターンと健康状態に合ったスタイルを優先することです。
定期的な話し合いを通じて、睡眠の質と関係性の両立を図ることが望まれます。
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睡眠環境がもたらす効果の違い

同じ寝室で眠る場合でも、環境設計の工夫次第で睡眠の質は大きく変わります。
睡眠科学の分野では、光、音、温度、湿度、匂い、寝具の選び方が質の高い睡眠に直結する要因とされており(出典:日本睡眠学会)、これらを最適化することで同室のメリットを最大限引き出すことが可能です。
まず、寝具についてはマットレスの選択が重要です。
ポケットコイルや低反発素材など、振動が伝わりにくいタイプを選ぶことで、相手の寝返りや起き上がりによる中途覚醒を減らすことができます。
掛け布団は一枚を共有するのではなく、個別に用意することで体感温度の違いに柔軟に対応できます。
光と音の管理も効果的です。
就寝30分前には照明を間接照明や暖色系のライトに切り替えると、メラトニン分泌が促され入眠がスムーズになります。
音に関しては、耳栓やホワイトノイズマシンを活用すると、周囲の物音を緩和できます。
温度と湿度の設定は、快眠を大きく左右します。
一般的に就寝時の室温は20℃前後、湿度は50〜60%が推奨されますが、個人差が大きいため、サーキュレーターやパーソナル毛布などを活用して細かく調整できる環境を整えることが望ましいです。
匂いに関しては、就寝直前の飲酒や匂いの強い食事は避けることが推奨されます。
アロマや消臭剤を活用して快適な空気環境を保つことも、同室生活を長く快適に続けるための工夫となります。
生活リズムがストレス軽減に与える効果

夫婦間で生活リズムが大きく異なる場合、同室での就寝はストレスの原因となり得ます。
就寝・起床時刻が1時間以上ずれると、先に寝る側が物音や光で中途覚醒しやすくなることが複数の睡眠調査で示されています(出典:国立精神・神経医療研究センター)。
生活リズムを完全に一致させることが難しい場合でも、「部分同期」を目指すことが有効です。
例えば、平日3日だけでも就寝時間を前後15〜30分以内に合わせると、体内時計の同期が進み、入眠と覚醒のリズムが安定しやすくなります。
どうしても生活時間のずれが避けられない職業や生活環境では、工夫次第で干渉を軽減できます。
先に寝る側はアイマスクや耳栓、ホワイトノイズを活用し、後から寝る側は暗視性の高いヘッドライトや無音イヤホンを使用すると、お互いの睡眠を妨げにくくなります。
このような小さな配慮の積み重ねが、同室就寝に伴うストレスを減らし、快適な睡眠環境を保つポイントになります。
ライフステージごとのいつまで問題

夫婦が同室で寝るかどうかは、ライフステージによって変化します。
出産直後から乳幼児期は、夜間授乳や夜泣き対応のため、別室やツインベッドを一時的に採用する家庭が多く見られます。
この時期は子どもの安全確保と保護者の睡眠確保が優先されるため、柔軟な寝室運用が求められます。
学齢期以降は、子どもの生活音や夜間活動が増えることで就寝環境への影響が出やすくなります。
例えば、部活動や塾の帰宅時間が遅くなると、寝室への入退室のタイミングや物音が増えるため、就寝の質を維持するためのルール設定が必要です。
中高年期以降は、加齢による生理的変化が顕著になります。頻尿やいびき、体温調節機能の低下などが睡眠の質に影響を与えるため、ツインベッドや部屋の仕切りなどの導入が検討されます。
さらに、高齢期には転倒リスクや持病管理といった安全面の理由から、同室での見守り体制がプラスになる場合もあります。
したがって、「いつまで」という問いに固定的な答えはなく、年齢、健康状態、住環境に応じて季節単位または年単位で見直すことが、現実的で持続可能な方法だと言えます。
夫婦が一緒に寝る習慣のまとめと今後の展望
この記事の締めくくりとして、これまで解説してきた夫婦で一緒に寝る習慣に関するポイントを整理します。
就寝スタイルは家庭ごとに事情や目的が異なり、一つの正解があるわけではありません。
そこで、データや専門家の見解を踏まえながら、快適な睡眠と良好な関係を両立させるために押さえておきたい要点を以下にまとめました。
・同室は多数派だが同一ベッドに固執せず選択肢は多様化
・ツインやセパレート化で同室のまま干渉を低減
・いびきや温度差など典型的ストレスは対策で緩和可能
・体調変化の早期気づきは同室ならではの利点
・安定した関係は睡眠の質に良い影響があるとされる
・就寝前10分の会話習慣が関係維持に有効
・寝具の個別最適化で快適性と独立性を両立
・生活リズムは完全一致より部分同期を目標に
・乳幼児期や多忙期は時限的別室を柔軟に採用
・中高年期はツインや仕切りで快眠と安全を両立
・高齢・持病には見守りと医療的視点を加えて判断
・季節やイベントごとに寝室スタイルを微修正
・数値の割合よりも各家庭の快眠と円満を優先
・健康情報は専門家の解説を参考に慎重に運用
・夫婦 一緒に寝るかは対話と試行で最適解を更新